タイトルロゴ大山祐史の経営コラム

 


 <本日のツボ123>
    『意図せざる接着剤』

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<ツボの説明>

  私の息子たちが世話になっている近所の小児科医院の話しです。

  ここの医院長さんはご高齢ですが、手書きの小冊子や手紙を患
 者さんに手渡したり、待合室の壁にペタペタ貼り出したりしています。

  内容は、「アレルギーってなに?」とか「アトピーとは?」、
 「抗生物質の種類と使い方」「小児科医の役割と製薬会社の営業
 姿勢」など、自分が思っていることを書いているだけなんですが
 これがおもしろい。

  今なら間違いなく人気ブログになるような内容です。


  この医院長さんは、全くマーケティングを意識していません。

 「製薬会社ってのはふざけてるよまったく」とか「世の中のお母
 さんたち、このくらいのことは知っておいてくれよ」「最近の医
 学会ではこんな新しい知見がでてきたよ、すごいだろ?」などと
 いう感情を、お手紙にして表現しているだけなんですね。


  この小児科医院、立地は最悪です。
  ただでさえ少子化の影響で小児科は儲からないといわれている
 のに、都心のど真ん中でまわりはオフィス街という街で開業して
 います。小学校がいくつも廃校になるような地域にあります。

  それにもかかわらず、こういうお手紙がお客さん(患者の子供
 たちのお母さん)のハートをがっちりつかんでいます。

  サービスを提供する側(この場合はお医者さん)の考え方や人
 間性が、そのサービスの受け手にしっかり伝わるということが、
 とても効果的に接着剤として機能しているのです。


  ちょっとアドヴァイスして「行列が出来る小児科医院」にする
 のは簡単だと思われます。

  でも私は単なる患者の父であって、この医院は私のクライアン
 トさんではありませんから、余計なことは言いません。

  いまでも十分混雑しているのに、これ以上待ち時間が増えるの
 はかないませんからね。

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 アドバンマネジ経営コラム by 大山祐史


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