タイトルロゴ大山祐史の経営コラム



 <本日のツボ152>
    『小売環境の将来』

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<ツボの説明>

  小売業の業態に関しては、大きな駐車場を備え一度にすべての
 買物を済ませることができるという利便性によって、郊外型大型
 店が優位に立っているというのが定説です。


  この「利便性が高い店舗が選好されやすい」というのは普遍的
 であるといってさしつかえないでしょう。

  「苦労しないで買物をしたい」という欲求が衰えるということ
 はあまり考えられないからです。

  「郊外型大型店」の運営や開発企画といったものに特化したビ
 ジネスモデルは、現時点までは時流に乗っていたということがで
 きます。


  しかし、「利便性」そのものの意味が普遍的であるとは考えな
 い方が良い。

  郊外型の大型小売店が持つ、「広い駐車場」、「休憩スペース」
 「清潔なトイレ」などの要素は、やりようによっては地域の商店
 街でも備えることが可能なものです。

  そうなってくると、これらの要素はコモライズされてしまい、
 「買い物客をひきつける利便性」とは言えなくなってしまいます。


  また、広大な売り場面積を生かした広い品揃えにより「すべて
 の買物が一度で済ませられる」というワンストップショッピング
 の利便性も、裏を返せば「店内移動距離の長さ」や「品揃えの深
 さに限界がある」といったマイナス面を内包しているといえます。


  先ごろ改正された都市計画法でも、特別用途地区などの運用が
 地方自治体にゆだねられ、実質的に大型店の郊外立地を制限する
 ための根拠法が生まれました。

  これには色々な理屈があるようですが、「人口減少と高齢化」
 という大きな流れの中で、様々な都市機能(商業機能も含む)を
 中心部に集めることによって、市街地が広域に拡散するのを防ぎ、
 それによって「行政コストを削減する」という目的があります。

  つまり、「いろいろな施設(行政サービス施設や民間の商業施
 設を含む)が郊外など広域に分散してしまうと、それだけ行政の
 サービスエリアが拡散しコスト高になるので、これからの人口減
 ・高齢化の社会では都市をコンパクトにして行政の効率化をはか
 りたい」ということです。


  「死に掛かっている中心市街地の商業者を救済するために大型
 店を規制するのか!」などという批判もありますが、「行政コス
 ト削減」という錦の御旗を立てられてしまっていますので、この
 流れは簡単には変わらないでしょう。


  このように、法律を含めたさまざまな環境の変化により、「利
 便性」の中身が大きく変化してくる可能性があります。

  「不況だ」とか「大型店に客を奪われている」といって嘆く前
 に、本来の「都市機能」や「顧客の利便性」について、今一度
 じっくり真剣に考えてみるべき時期に来ているのです。

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 アドバンマネジ経営コラム by 大山祐史


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