タイトルロゴ大山祐史の経営コラム



 <本日のツボ305>
    『効率化の落とし穴』

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<ツボの説明>

  営業部門というのは、毎日の営業活動のほかに在庫確認や発注、
 出荷手配にクレーム対応、はたまた開発会議に販売会議と息つく
 暇もないほどいそがしい。

  この状況をなんとか少しでも緩和したいと考えるのはいたしかた
 のないところだが、ここでも気をつけなければならないことがある。

  「事務処理の効率化」という名目の下、顧客価値につながって
 いるサービスを削ってしまうことがあるから。

  たとえば、「翌日配達」を約束してしまうと、毎日午後3時まで
 に出荷指示書とピックアップデータを完成させてデポ(倉庫)へ
 送信しなければならない。この作業が大変で、他の仕事にも差支え
 があるので「翌日配送はやめてしまおう」などということが起る。

  この例は極端な例なので、本末転倒な考え方だということがすぐ
 にわかる。しかし、日々実際に行なわれている「業務改善」の中に
 は、すぐにはわからないけれども結果的に顧客価値や顧客利便性を
 損なっている内容のものが結構含まれているものだ。


  逆に、ライバル会社が実施しているサービスの内容を注意深く
 継続的に観察していると、ちょっとしたことだがサービスが後退
 したかのように見受けられることがある。

  これは、上記のような「効率化」を行なった結果が外部に表れて
 しまった結果である場合が多い。

  このような時というのは、どんなに些細なことであってもお客
 さんは不満を感じているものである。どうでもいいようなことでも、
 今まであったサービスが受けられなくなることは、人間にとって
 快適ではないことなのだ。
  いつもは動いている通勤駅の下りエレベータが、たまたま整備中
 で使えなかったとき、「チェっ」と思うあの感じは本能的なもの
 なのである。


  こういうときは当然、自社にとってはチャンスとなる。

  逆にライバル会社に余計なチャンスを与えないためにも、「事務
 処理の効率化」を実施する際には、それによって何か犠牲になる
 ものがないか、特に顧客価値を損なうことがないかについて、慎重
 な見極めが必要になってくる。

  また、販売成績が低下傾向だと感じたら、以前に行なった「事務
 の効率化」の内容を再検証してみる、といったこともやってみる
 価値がある。

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 アドバンマネジ経営コラム by 大山祐史


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