タイトルロゴ大山祐史の経営コラム






 <本日のツボ340>
     『資金移動表』

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<ツボの説明>

  資金移動表は、現実の経営においてキャッシュ(現金)の需給
 バランスがどうなっているかを見るためには役立つツールだ。

  その作成方法は、いわゆる直接法によるキャッシュフロー計算書
 とほぼ同様である。

  違いは、キャッシュフロー計算書が企業の活動を「営業活動」
 「投資活動」「財務活動」という3つの実活動に分けて考え、それ
 ぞれの活動ごとにキャッシュの動きを見てゆこうとしているのに
 対し、資金移動表の方はその構造が決算書に準拠しているため、
 キャッシュの期間収支を「経常収支」「特別損益収支」「設備(投
 資)関係収支」「決算関係収支」「財務収支」の5パートに分けて
 作成されている。

  どちらも営業収入を基点として支出を差し引き、減価償却費や
 各種引当金、信用取引の増減などといった非資金項目を考慮して
 純粋なキャッシュの増減だけを導出するという点においては同じ
 である。その意味から、資金移動表も一種のキャッシュフロー
 計算書であるということができる。


  資金移動表も直説法によるキャッシュフロー計算書も、企業の
 経営管理にとって極めて重要なキャッシュの源泉と使途に関しての
 客観的情報を提供してくれる帳票であるため、経営課題を明確化
 する上でそれらを作成する意義は大きい。

  ただし、実際の作成はそこいら辺の解説書に書いてあるようには
 うまくいかない。

  なぜなら実際の企業会計においては、様々な実取引が複数の名目
 勘定を用いて仕訳されており、それらの名目勘定がまた複数の実在
 勘定の相手科目となっている場合が多いからである。

  このような事情を勘案しながら、正しい(現実の現金・預金額の
 増減とピッタリ合うような)計算書を作成するには、自社の仕訳に
 関する相当な知識と粘り強い作業が必要になってくる。


  少しでも企業会計に関心があり、財務の観点から経営課題を抽出
 したいと考える経営者は、一度解説書などをご覧になりながら資金
 移動表を作ってみてはいかがだろうか?

  決算上は赤字でも経常収支ではプラスだったり、決算では黒字で
 納税までしたのに、実際の経常収支は大きくマイナスになっている
 などということがいくらでもある。

  こういったことから今まで見落としていた管理ポイントが明らか
 になる場合がある。

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 アドバンマネジ経営コラム by 大山祐史


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