タイトルロゴ大山祐史の経営コラム





 <本日のツボ362>
     『擬態うつ病』

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<ツボの説明>

  うつ病に関する知識が広く知られるようになるにつれて、擬態うつ病と
 呼ばれる症状を示す者が増加しているといわれています。

  特に、「うつ病は心の風邪だ」とか「生涯罹患率は6人に1人」などと
 いわれるように、うつ病が特段珍しいものではなくて誰でもかかる可能性
 があるものだということが強調されていることが、「自分もうつ病に違い
 ない」と思い込む「擬態うつ病」が増える要因となっています。


  「憂鬱でなにもする気にならない。もちろん仕事もしたくない」「会社
 や学校に行きたくない」と、ここまではうつ病と同じです。

  しかし擬態うつ病の場合は、
  「何もする気にならない」といいながら、友人との会話や趣味などに
 関することは比較的楽しそうに行うことができる とか、
  「おまえがそんなことを言うから俺のうつ病はなかなか直らないんだ」
  「課長、私にそんなことをさせるとうつ病が悪化しますよ。私のうつ病
  が直らないのは会社の責任ですね」などと、他人を責める感情が出て
 くるといった特徴が見られる場合があります。

  真性うつ病の場合は「およそどんなことに対しても楽しみは見出せず、
 世の中はつらく苦しいことばかりだ」と感じます。したがって、家族や
 友人との接触はもとより、正常なときは楽しいと感じた趣味や道楽に
 ついても、憂鬱でやる気にならない状態になります。

  また、真性うつ病の症状としては「自責の念」が非常に強まることが
 多く、「こうなったのはすべて自分がだらしがないからだ。こんな私は
 もう生きていてもしかたが無い」と考えることもあります。反面、他人を
 責める感情というのはあまり持つことがありません。

  それともう一つ、擬態うつ病の大きな特徴として上げられるのは「うつ
 の治療薬がまったく効かない」ということです。うつ病は脳の機能が正常
 に働かなくなる病気なので、脳の神経に働きかける化学的な療法が一定の
 効果を持ちますが、擬態うつ病には当然、このような治療薬は意味を持ち
 ません。
  (真性うつ病の患者でも、抗うつ薬が効果を発揮しない者がかなり高率
 (40%とか50%といわれています)で存在しますので、「投薬治療の効果
 がないからうつ病ではない」と考えるのは誤りです)


  擬態うつ病というのは正式な病名ではありませんが、職場や家庭などに
 おけるサポートが無ければなかなか解消しない問題であることも事実です。
 なんらかの原因で「落ち込み」が発生しているのです。

  薬が効かないので「擬態うつ病は長引く」こともあります。


  能力の低い臨床心理士や心理カウンセラーなどが「擬態うつ病が増えて
 いる。病気でもないのに病気のフリをして働かないのだから困ったものだ」
 といった趣旨の発言をすることがあるのですが、困ったものです。

  組織の効率を高めるためには、うつ病も擬態うつ病も発生しにくい環境
 を作らなければいけないわけで、このような問題が発生する根本はどちら
 も同じようなものなのです。それがわからずに「擬態うつ病はそいつが悪
 い」というようなカウンセラーは、そっちのほうが責任転嫁をしているわ
 けですから、これを排除しないと職場は良くなりません。

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