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 <本日のツボ14>
   『スタッフの勘違い』

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<ツボの説明>

 社内(組織内)の根回しに時間と手間がかかる会社(組織)は
成長しない。といわれています。組織エネルーギーが内向化
するため、本来の業務が合理的に行なえなくなるという理屈です。

 理屈は理屈でごもっともですが、社内の根回しや調整に大変な
労力がかかり本来の仕事に身が入らなくなったり、社内の調整や
根回しのみを仕事とするような部門や担当者ができてしまったり
することは、現実の会社においてはよくみられることです。

理屈では「それじゃーダメ」とわかっているのに、現実には
そうなってしまっていることが多いのはなぜでしょうか?

 組織の活動が「協働」である以上、コミニケーション
があるということは組織が組織であるための必要条件です。
 一定の割合で内部調整のための仕事が発生するのは、健全な
組織運営を行なうために必要であるともいえます。

 中小企業の場合、組織の形状はごく普通のライン&スタッフ型
である場合が多いのですが、社内根回し過剰に陥っている会社で
もっとも一般的なのが「スタッフの権限肥大」です。

 本来スタッフとは、現場部門が個別に行なったのでは手間が
かかってしょうがないような事務処理や、特別な業務知識を
必要とする事務処理 などを専門的に行なうためのセクションで
あり、現場部門の意思決定に介入する機能は持っていないのが
ふつうです。

 ところが、スタッフ部門は管理面で各現場部門を横断的に
サポートしているため、組織間の内部調整行なうにあたっての
指導的な役割をもち始める事があります。
 この状態がつづくと、スタッフは自分が現場部門のボス的な
位置づけにいると勘違いしてしまう事があります。
 もともとスタッフには、自分の扱う専門業務について何らかの
決定権を持ちたがる習性あります。

 たとえば、各部門で発生する経費や仕入れ代金を「支払う」こと
を一手に引き受けていた経理部門が、いつしか「経費の承認」まで
行ない始めるようなケースです。

 こうなると現場部門はその活動に大きな足かせを嵌められた
ことになります。経費や仕入れ代金を支払ってもらえなければ
仕事は停滞してしまいますから、支払ってもらうための根回し
に大きな労力を注がなくてはならないことになります。

 こうして現場部門は本業以外にエネルギーを奪われ、メンバー
のモチベーションも下がってきます。

 足を引っ張るスタッフ部門には権限を与えないというのが賢い
経営者の見識なのですが、こういう事が起こっている会社という
のはたいてい、経営者が現場同士のやりとりに無関心で「当事者
同士でよく相談して決めればよい」などとものわかりの良いフリを
して問題から目をそむけているものです。

 どこまでがスタッフに委嘱すべき職務権限か、スタッフが現場の
決済権限を侵害していないか、をチェックする事は、意外ですが
経営者の大切なお仕事です。

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 アドバンマネジ経営コラム by 大山祐史


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