タイトルロゴ大山祐史の経営コラム

 


 <本日のツボ164>
   『使途の異常さに気づけ』

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<ツボの説明>

  資金運用表をの見方をもう一つご紹介します。


  資金の運用状況を単年度分だけ眺めていると、ギョッとするよ
 うな数字にぶつかることがあります。

  たとえば、大きな設備投資を行ったりすると、経常的な資金と
 して調達したお金が、結果的にかなりの部分固定資産の取得に使
 われてしまっている、といったようなケース。

  こういったケースはそれほど特殊であるとはいえず、特に中小
 企業の場合には、いちいち問題視してもしょうがないな、と思います。

  設備投資に限らず、事業を拡大する局面ではどうしてもお金が
 先に出てゆきます。

  ですから、短期的には資金繰りと収益性とでは負の相関関係が
 あると見ることができるのです。


  しかし、何年かのうちにはその設備投資が有効に作用し、会社の
 収入増に貢献して、いわゆる「元を取った」状態になるのが正常です。

  それを確認するためには、5年分くらいの資金運用表を作って
 みるとよくわかります。

  作り方は簡単で、単年度で作成したものを5年間分、単純に合
 計するだけです。


  合計する期間が5年間を超えてくると、不思議なことに資金繰
 りと収益性の間に見られた負の相関関係が消えてしまいます。

  優良企業の場合には逆に、長期の資金運用表から、資金繰りと
 収益性には正の相関があることが読み取れます。

  調達した資金をうまく運用して収益を上げることが、結果的に
 会社の資金繰りを良くしてゆく効果につながっているからです。


  ところが、「異常な運用」が恒常的に行われていると、何年分
 合算しても負の相関関係が消えません。

  業績に問題を抱えている会社の多くは、この長期資金運用表で
 も、資金の流れがいびつになっていることが多いものです。

  ここから、経営者も気づいていない「おかしくなりかかってい
 る兆候」がみつかることさえあります。

  この「長期資金運用表」は、経営者の通信簿なのです。


  こういった資料を作成してみると、社長用の高級乗用車などが
 いかにビジネスの成績に貢献しない「死んだ金の使いみち」であ
 るかがよくわかります。

  乗用車は耐用年数が5年ですから、損益計算書上では目立った
 悪影響がないかのように見えます。

  しかし、資金の使途としては確実に、使った分だけ固定資金の
 運用側にプラスされます。

  資金運用表上では、5年間のうちに減価償却されて調達側に戻っ
 てゆきますが、実際に営業収益として回収されてはいません。


  いえいえ、「高級車なんて買ってはダメだ」と言っているので
 はありません。

  逆に、どんどん買うべきだと思っています。

  ただし、成績優秀な経営者は、自分用の高級車を購入するため
 に「稼いだキャッシュフロー収益の範囲内で設備投資をする」と
 いうルールを踏み外したりはしないということです。

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 アドバンマネジ経営コラム by 大山祐史


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