タイトルロゴ大山祐史の経営コラム

 


 <本日のツボ183>
   『日本的民主主義の弊害』

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<ツボの説明>

  日本的民主主義の下では、「総意をもって可決される」ことが
 意思決定の条件となり、全体調和を維持することによって組織の
 総合力を最高レベルまで発揮させる、という効果があったために、
 それは日本企業の成長の原動力となってきました。


  日本的民主主義による意思決定のプロセスは、経営者個人が立案
 したプランの是非を問う、といったパターンは珍しく、たいていの
 場合「執行部」や「プロジェクト」、「委員会」といった名称の
 集団が原案を提示することによって開始されます。

  その原案に対して、意思決定に携わる人々が、「このような場合
 はどうなるのだろうか?」といった疑問を呈することによって議論
 が行われますが、その議論の争点は不明瞭で、原案に対して対案が
 提示されることはまずありません。

  結局は、長時間の議論が行われた後に、「意思決定者たちの総意
 により」原案にさしたる変更が加えられることなく可決されること
 となります。

  この傾向は、原案そのものが、最も「総意による可決」を得や
 すいものを目指して作成されることによって生まれます。

  具体的には、原案が「前例を踏襲して作成される」ということです。


  こういったやり方は、冒頭でも述べたとおり、「一致団結して組織の
 総合力でことにあたる」ためには有効に働いてきたといえます。

  しかし、我々がそろそろ気づかなければいけないことは、この
 日本的民主主義の風潮が、自動的に変化を排除してしまう機能を
 持っているということです。


  基本的に「変革」や「イノベーション」につながるアイディアと
 いうものは、組織の構造や共有する価値観、実際のビジネスフロー
 といったものに対して、相当の変化を要求します。

  しかし、日本的民主主義を重視することによって、そのような
 変化の可能性は排除されてしまうのです。

  このようなことが繰り返されるうちに、組織全体が「創造性」
 という機能を恐ろしいほどに失ってしまうのです。

  これが、現在わが国の役所や公立学校、一部の老舗大企業等の
 組織とそこに居る人々が、国民があきれ返るほど無能化してしまっ
 ている大きな原因であると思われます。


  日本的民主主義には悪い点ばかりがあるわけではありません。

 しかし、
  「日本的民主主義だけを続けてゆくと創造性を破壊してしまう」
 
  という弊害があることを理解すべき時期に来ています。

  そもそも「全体調和」と「創造的なものを取り入れること」とは
 相容れないものであるということを承知してほしいのです。


  組織の将来を左右するような重要な意思決定に際しては、「前例
 を踏襲した原案」に対して、必ず「別の切り口からの対案」を作成
 する機能を設けること。

  全体調和ではなく、合理的最適解を選ぶための議論の方法を身に
 つけること。

  こういったことが、生き残りを賭けた変革のために必要となって
 きています。

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 アドバンマネジ経営コラム by 大山祐史


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