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 <本日のツボ22>
    『顧客の創造』

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<ツボの説明>

  先日「目的を明確にして、それをベースにして目標を設定
 するんだ」などということ書きましたが、今日はその目的
 について考えてみましょう。

  例として「ベンツを買う」とか「社員に昨年の倍ボーナス
 を払う」などと書いたのですが、こういうことは要するに、
 「利益をあげるぞ」という意気込みを言葉を変えて書いた
 だけのものです。

  では、利益を上げるということが会社の目的なのかというと
 実は少し違います。

  利益を上げるということは、いうまでもなく大切なことです。
 利益を上げる事ができない場合、その会社は長期的に存続して
 ゆくのは難しくなります。

  社長・役員や従業員に給料を払って、お客さんにも喜んで
 もらえていればいいじゃないか、という考えもあります。

  しかし、そこまでで収入を使い果たしてしまい、株主さんに
 配当する事すらできない会社は、株主さんから「定期預金の
 ほうがましだから出資を引き上げたい」といわれても仕方が
 ないですよね。つまり、短期的にはよくても、長期間は我慢
 してもらえない。

  さらに、何年かたって、店舗や設備が古くなって更新しなけ
 ればならなくなった時に、そのための資金がないためにでき
 ない、といった事も考えられます。

  もっと長期で考えれば、働いてくれた社員が定年退職する
 ときには、ある程度の退職金も支払わなければならない。

  そのような将来的なコストというのはどのような会社であれ
 必ず負担しなければならないものであって、利益というのは
 実は「どのように処分してもいい余剰資金」ではなく、いずれ
 こういったコストに対処するために使われるものなのです。

  その意味では「利益を上げる」ということは「目的」という
 よりも会社が存続してゆくための「条件」のようなものと思わ
 れます。

  それでは、本当の「目的」はどのように設定したらよいの
 でしょうか?

  利益を上げるために会社が実践していることとえば、新製品
 の開発やマーケティング活動、改善活動に広報・宣伝活動、
 新事業への取り組み、現場の改善、コストダウンなどなど、
 細かく分類すればきりがないほど様々なやり方があります。

  そしてそういう活動が達成しようとしていることは、最終的
 にはみな「顧客の創造」なのです。

  ある特定の階層の人間が集まる「市場」や、人間の「要求・
 欲望」を具現化し、そこに何らかの方法で解決を提示すること
 により、そこに居る人間を「顧客」にして獲得することができ
 ます。そのような活動こそ、会社の基幹活動であり「目的」で
 あるということができます。

  あなたの会社が「顧客の創造」を実現しようとするとき、
 その顧客にとってメリットとなることを、どのような形や方法
 で提供するのかを具体的に言葉にできれば、全社員が容易に
 共有することができる「目的」とすることができます。

  たとえば「1kg未満の持ち運び可能な電話機を使った音声
 通話サービスを提供する」など。これは1980年代の例です。

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 アドバンマネジ経営コラム by 大山祐史


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