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 <本日のツボ24>
   『簡単に利害対立がおこる』

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<ツボの説明>

  経営者と社員の利害が一致するような目的をかかげること
 が、社員が会社に対してすすんで貢献をし始める条件となる
 のですが、その反対のことが起こっている会社をときどき見
 かけることがあります。


  仕事におけるムダなコストを減らすために、いわゆる
 「うるさがた」の古参社員が「コスト削減責任者」の任を
 まかされる、というのは良くあるケースです。

  この「うるさがた」が「もったいないからXXしなさい」と
 繰り返すうちに、社員の利益を侵害し始める事があるのです。

  「電話代が高すぎる。電話は要件をまとめて手短に」

  「コピー代がかさんでいます。無駄なコピーはしないで
   ください」

  この程度ならまだよい方です。このような発言が業績の改善
 につながることはまずありませんが、それほど有害であるとは
 いえないでしょう。

  しかし、この程度の小言をいっても目に見えるコスト削減効果は
 出てこないのが普通ですから、次第に内容がエスカレートして
 きます。これが有害です。

  いわく「接待費は今後XX円以上は認められません。
      超えてしまったら自腹にしてもらいますよ」

  いわく「出張旅費・宿泊費と日当が予算をオーバー
      しました。今後の出張は日帰りでお願いします」

  これらは経費削減のために発せられている言葉なので、「会
 社のため」という大儀があり、言っている本人に罪悪感はほと
 んどありません。

  いわれている方も、「会社のために経費削減する」という
 大儀に対して「どう考えてもそれは間違っている」と真っ向
 から反発するのは難しい状況になります。

  しかし、もうお分かりだと思いますが、これらの言葉には
 社員の利益を侵害する内容が含まれています。

  言った者と言われた者とのあいだに、「利害の対立」が生じ
 ているのです。

  最初のうちは「うるさがた」と社員のあいだの利害対立とい
 う構造ですが、これを経営者が放置していると、たちまち「会
 社(経営者)と社員の利害が対立している状態」となってしま
 います。

  この状態をいいかえると「会社の得は社員の損」「社員の得
 は会社の損」ということとなり、この状態に陥ってしまうと、
 会社の業績達成能力はとても低いものとなってしまいます。

  しかも、ここに至る過程で「だれも悪いことをしたと思って
 いない」ので、こういう事態は意外と簡単に起こります。また、
 原因がはっきりしない組織全体のやる気の喪失(モティベーショ
 ンの低下などともいいます)というのが症状で、原因がわかり
 づらいせいで対策が後手にまわり、深刻化する事が多いという
 特徴があります。


  中小企業にとって「コスト削減」は常に意識しつづけざるを
 得ないテーマですが、それを進めてゆく過程に「会社(経営者)
 と社員の利害対立」が生じないようにする、という点は、重要
 なチェックポイントです。

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 アドバンマネジ経営コラム by 大山祐史


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