タイトルロゴ大山祐史の経営コラム



   <本日のツボ286>
    『中小企業の承継問題』

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<ツボの説明>

  M&Aの主な手法には、

 @株式譲渡
   発行済み株式の売り渡しにより経営権を譲渡する方式

 A新株引き受け
   譲渡先企業が優先的に引き受ける第三者割当増資を行う方式

 B営業譲渡
   一部の事業だけを企業間契約に基づいて売り渡す方式

 C合併
   2つ以上の会社が一つに統合される形態

 DMBO(Management Buyout)
   「のれん分け」的な方式
  現状の会社幹部に発行済み株式等を買い取らせて経営権を移管
  する方式

 EMBI(Management Buyin)
   MBOの一類型であるが、新しい経営陣が社外から派遣される
  場合をMBIという
 
 などがあります。


  「知ってるよ。何で今さらこんな説明を???」とおっしゃる
 読者さんが多いことは承知しています。

  承知の上でこんなことを書いている背景には、中小企業の承継
 問題に関する危機感があります。


  日本の中小企業のうちかなりの部分が、高度成長期に創業されて
 います。当時20歳〜30歳代だった創業者が、独立開業という
 形で起業された会社が多いのです。

  当然、それら創業者の多くは、現在は60歳〜70歳になって
 いる計算となり、そういった企業が、今まさに一斉に世代交代の
 時期を迎えているのです。

  そして問題となるのは、そのうちの一定の割合(中小企業庁の
 算定によると0.6〜4.4%)が、経営状況には何も問題が無い
 のに、単に「後継者が見つからない」というだけの理由により、
 廃業せざるを得なくなる可能性があるということです。

  この割合は一見少ないようにも感じられますが、母集団となる
 「経営者が高齢化した中小企業」の数が膨大であるため、わずか
 2〜3%であっても、このことがわが国の経済や雇用環境に与える
 インパクトはきわめて大きいのです。

  具体的に言うと、年間20〜35万人が、この理由による廃業で
 失職していると推計できる ということです。


  で、冒頭のM&Aの話で何を言いたかったかを説明すると、
 次のようになります。

  M&Aは最近良く耳にする言葉ですが、中小企業で仕事に従事
 するものにとってはあまりなじみがない言葉であることも多いよう
 です。一般にM&Aといえば大企業が行うものとか、単なるマネー
 ゲームというイメージを持っている方が多いからです。
 
  しかし実際には、特に昨今は、中小企業であってもその対象と
 して成立するケースが増えてきました。

  企業のコア・コンピタンスが明確であり、一定の収益・資産を
 確保していれば、企業規模にかかわらず事業売却は可能になって
 きているのです。

  だから、社会に必要とされている仕事を堅実に行なっている中小
 企業にとっては、事業継承を検討する際の「一つの選択肢」として
 M&Aという手法を研究しておくことは決してムダになりません。

  中小企業の経営をサポートする立場の者としては、経営者が燃え
 尽きて引退する際に、従業員たちも一緒にに「殉死」するような現象
 は、一番見たくない悲しい出来事なのです。

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 アドバンマネジ経営コラム by 大山祐史


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