タイトルロゴ大山祐史の経営コラム

 


 <本日のツボ317>
    『かかわる技術1』

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<ツボの説明>

  「共通の話題がもてない」「何を考えているのかわからない」

  このような言葉は、経営者や幹部が新入社員に対して漏らす感想
 としてよく聞くことができます。


  新入社員に限らず、人間は防衛的な心理状態ではなかなか開放的
 にはなれません。感情や考えていること受け入れたり表に出したり
 することにブレーキがかかります。

  これはコミュニケーションに必要な情報の出し入れが不十分な
 状態ですから、話が続かないとか何を考えているのかわからない
 と感じるのは当然です。


  直近の環境から圧力を感じると人は防衛的になります。

  経営者の挨拶とか研修の内容などが訓示的であればあるほど、
 聞き手にとっては圧力を感じやすくなります。訓示的なハナシと
 いうのは、これから始まる従属関係を宣言する意味合いを感じさせ
 てしまうのです。逆に言うと、訓示的なハナシをするのが好きな人
 というのは、支配欲が強い人です。


  「支配と服従」という人間関係が理想的であるとされるのは軍隊に
 おいてですね。軍隊型の組織運営にはそれなりのメリットがあります。

  部下が何を考えどのように感じているかは問題とならないので、
 「あいつは何を考えているのかわからない」と悩む必要はありま
 せん。意思の伝達は基本的に垂直方向であり、ほとんど上から下
 への一方通行だけで済みますから、情報ネットワークの構造は単純
 なもので済みます。※

  組織メンバーの行動様式は自己犠牲を厭わないものとなります
 から、なにしろ行動することが実績に直結するような仕事の場合
 には、好業績に結びつきやすいやり方です。

  一方、旧日本軍に見られたように、トップに判断ミスがあると
 あっというまに全滅してしまう脆さを持っています。


  現代の経営者に話を聞いていると、軍隊型の組織統制を理想とは
 していない方がほとんどです。個人の力を尊重しながら組織力を
 高めたい、などとおっしゃる社長さんが多く見られます。

  にもかかわらず、この季節になると訓示的な話を一生懸命考えて
 いらっしゃる。不思議な光景です。


 ※現代の軍隊における情報ネットワークは非常に複雑で、垂直・
 水平、双方向性と即時性を重視した高度なものです。ここでは
 単純トップダウンの組織統制を比喩的に「軍隊的」という言葉で
 表現しましたが、現場の情報がなかなか上流に伝わらない昔の軍隊
 のイメージによるものです。
  他にもっと適切な言い方があったらアドバイス下さい。

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 アドバンマネジ経営コラム by 大山祐史


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