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 <本日のツボ48>
   『アウトソーシング』

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<ツボの説明>

  先日シロクマ自動車(仮名)の人と話していたら、「出張旅費
 清算などの経費処理は中国の会社に委託している」とのこと。
  海外へのアウトソーシングです。

  理由は「安いから」というでしたが、この手の事務処理や
 保守・管理業務のアウトソーシングには、もうひとつ重要な
 意味があります。


  たとえば「便所掃除」という仕事を社員にやらせた場合、通常
 その社員は自分の仕事を改善し、効率を高め、サービスの質を
 を向上させようとはしません。

  そうすることが自分の評価を高め、将来会社のトップマネー
 ジメントに参画するチャンスにつながるとは考えないからです。

  そのような仕事を行っている部門は、サービスの量や品質に
 ついての苦情を受けた場合、人員を増やして対応しようとする
 傾向があります。
  「1日1回の掃除で不満なのなら、2回掃除に行ってやろうじゃ
 ないか」というふうに考えるのです。

  このようにして、補助的部門の人員とコストが勝手に膨らん
 でゆきます。


  一方、「便所掃除屋」を商売にしている会社の管理者は、安
 直に人員を増やしてコストが高くなれば、仕事をライバル会社
 に奪われるだけだということを知っています。

  したがって彼らは、便所掃除という仕事を、いかに効率的に、
 高品質に成し遂げるかということに心血を注ぎます。

  その会社のマネージャーは、もしかすると最初は、便器磨き
 の仕事からスタートした者かもしれません。
  そしてこの者には、もっと効率的で高品質な便所掃除を実現
 することで、20社もの顧客企業を管理する副社長に昇進する
 可能性があります。
  うまくすれば、次の社長の椅子だって狙えるかもしれません。


  このような仕事は、アウトソーシングすることによって、実施者
 を動機付けることが可能になる。
  言い換えると、アウトソーシングすることによってのみ、この部門
 の生産性と業務品質を向上させることができる、ということです。


  変革の停滞、生産性の沈滞、勝手に膨張する人件費。
 このような現象が起こっている部門を発見した場合、そこにい
 る社員の多くは仕事に対する動機付けがなされていないと考え
 て良いと思います。

  アウトソーシングを検討する場合、上記のような視点を持って
 視てみるということを念頭においてください。


  こんな話をしていたら、カネマン建設(仮名)の人は「うちの
 場合は、補助業務の社員は工事の注文を背負って入社してく
 るからな〜」とつぶやきました。

  大企業に多いケースですが、この場合も真剣な動機付けを付
 与することによって、販促と事務の効率化の両面で成果をあげ
 られる状況である、と捉えてください。

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