タイトルロゴ大山祐史の経営コラム



   <本日のツボ213>
     『飛び込み営業』

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<ツボの説明>

  あなたが営業部長に任命されたとしたら、営業成績をアップさせ
 るためにどのようなことを実践しますか?


  「この地域の電話帳をみて、この業種の事業所に全部電話して
 アポを取れ。
  アポが取れないところは片っ端から飛び込んで名刺交換して来い。
 なにしろ新規顧客を増やさなければ売上アップはできないんだ。」

  こんな檄を飛ばしている営業部長さんに質問です。

  1.あなたの商品は今まさに急成長していて、市場がどんどん
    広がっている状況にありますか?

  2.あなたの商品は、効能・機能の面での明確な差別化要因
    または圧倒的な価格優位性を持っていますか?

  3.あなたの部下の営業マンには、他にやることがなくて暇を
    もてあましている者がいますか?

  冒頭のような「無差別飛び込み営業」は、売込みを掛ける対象
 顧客を拡大しようとする戦略ですが、これが有効となるためには
 上記のような3つの質問の内どれかに「Yes」と応えられる状況
 である必要があります。


  売り込む商品の市場が急拡大している状況では、需要の方が供給
 を上回るペースで増えて行きますから、新しい需要を捉えてできる
 だけ多くのシェアを獲得するために、可能な限りたくさんの顧客と
 コンタクトすることが有効となります。

  また、機能や品質、価格などで圧倒的優位性を持っている商品
 であれば、やはり売り込み先を増やすことでシェアアップを図る
 ことができるので、できるだけ広範囲に売り込む戦略が有効です。

  成長が鈍い市場に際立った特徴がない商品を販売してゆく場合、
 むやみに売り込み先を広げると、その業界に過当競争を生み出し
 ます。値下げで獲得したシェアは値下げで取り返される、という
 状況です。これでは利益は上がりませんから、汗水たらして新規
 顧客を作っても、自分で自分の首を絞めているのと同じです。

  3番目の「暇をもてあましている社員」というのは、民間企業
 ではありえないので説明は省略します。


  ほとんどの会社が、上記の条件に当てはまらない商品を扱って
 います。そのような会社は、むやみに売り込み先を増やすことを
 考えるのではなく、むしろ既存顧客とのコンタクトの密度を上げて、
 顧客理解と課題の発掘、それらを提案営業へ結びつけるための企画
 立案といったことに時間を使うべきなのです。

  「飛び込みやってる暇があったら少しは頭使って考えてみよう」
 というのが正解です。

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 アドバンマネジ経営コラム by 大山祐史


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