タイトルロゴ大山祐史の経営コラム

 


   <本日のツボ214>
     『絵にかいた餅』

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<ツボの説明>

  「絵にかいた餅」という言葉は、全く役に立たないものという
 ような意味で使われることが多く、あまり良いイメージの言葉とは
 いえない。


  たとえば、学生が卒業を控えて就職活動を始めるとき、誰もが
 就職先に対する一定のイメージを描く。

  様々な企業を調べ、訪問し、研究して、あの会社なら「堅実で
 有名で、待遇が良く、やりがいがあり、美人OLが多い」などと
 いったイメージを作り上げる。

  そのイメージがいつしか憧れに変わり、ナントカしてその会社に
 入社しようと、勉強して、アピールして、選ばれて望みどおりその
 会社に採用されることもある。


  だが、いざ入社して何ヶ月か経つと、往々にして「何か違うな?」
 と感じ始める。入社前に描いていたイメージは「絵にかいた餅」
 であり、現実は「保守的で残業が多く、つまらない仕事を淡々と
 やるだけで、新入社員をアゴで使うお局OLの巣窟」ではないかと
 感じ始めてしまう。


  結婚も同様。

  男は「かわいくて、気が利いて、上品で、優しい、こんな娘と
 一緒に暮らす生活は、とても幸福である」と考えて結婚する。

  結婚式の当日に、「俺はこれからの2〜3ヶ月間はとても幸福に、
 残りの数十年間はあのでかいケツに敷かれてアクセク働き、平凡に
 暮らすんだ」という決意ができている者は、あまりいない。


  「堅実で、有名で、待遇が良く、やりがいがあり、美人OLが
 多い会社」とか、「かわいくて、気が利いて、上品で、優しい娘
 と暮らす幸福な生活」といったものは、まさしく「絵にかいた餅」
 だったのである。


  しかし、だからといって「絵にかいた餅」をさげすんだり、
 「絵にかいた餅」を描くことをやめてしまったりしてはいけない。

  苦労の絶えない就職活動を乗り越える勇気と行動力を与えてく
 れたのは何だったか?

  結婚という大事業に向かって、恋愛時代の生活にやる気と張りを
 もたらし、エネルギーをくれたのは何だったか?

  それは「絵にかいた餅」の力に他ならない。


  絵にかいた餅とは、
    理念であり、ビジョンであり、あるべき姿 である。

  これがきっちりと描けない人や組織は、大きなエネルギー源を
 持ち損なっているということになる。

  現物の餅ばかりを大切にして、それを必死に守ろうとしても、
 本物の餅は食べればなくなるし、食べなければカビて腐る。

  日本人はもっともっと、「絵にかいた餅」を描く力と、大切に
 する気持ちを 持った方が良い。

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 アドバンマネジ経営コラム by 大山祐史


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