タイトルロゴ大山祐史の経営コラム

  2007年7月4日



 <本日のツボ357>
    『団塊マクロ経済』

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<ツボの説明>

   <前提1>
  団塊世代の定年退職に伴って、退職金という一時所得を得たうえに
 自由時間を持った人間が増える。よって、消費が増加する。

   <前提2>
  団塊世代の定年退職によって、技術承継が間に合わず属人的固有技術の
 逸失が発生する。それによって企業部門の生産性が低下する。


  こういった分析は、マクロ経済分析としては空間的にも時間的にも
 限定的すぎるように思われる。マクロ経済に影響を与える要因として
 もう少し掘り下げてみると次のようになる。

   <想定1>
  旧来の日本的人事制度(年功序列)によって、生産性が低いにもかか
 わらず高賃金を得ていた団塊世代が企業部門から退出する。
  企業から高賃金を得られなくなった者たちは、自身で新しい経済活動
 を始めることができる一部の者(起業家など)を除いて、消費活動を
 それまでより縮小させる。よってマクロの消費は減少する。

   <想定2>
  旧来の日本的人事制度(年功序列)によって、生産性が低いにもかか
 わらず高賃金を得ていた団塊世代が企業部門から退出する。
  これにより各企業の労働分配率は低下し、全体的な生産性は上がる。
 団塊世代が大量に定年退職する企業ほど、収益力が向上する。


  想定1の消費減少による悪影響をあまり被らず、かつ想定2の生産性
 向上による恩恵を強く受けることができるのは、内需型の販売に依存せず
 団塊世代従業員を生産性が低い高給取りとして数多く抱えている企業
 である。

  これはすなわち、団塊世代を退出させることにより、輸出売上比率が
 高く従業員規模が大きい企業はプラス効果を得ることができることを意味
 している。もっと端的にいえば、大企業は儲かり中小企業は割を食うと
 いうことだ。


  事実、足元の月次景況感DIでは、大企業と中小企業間の格差が広がる
 傾向にある。

  60歳を過ぎても経済活動を継続する者の割合を増やしてゆかないと、
 格差はどんどん広がっていってしまう。

  定年退職者の経済活動を支援することが、中小企業をたすけ格差を
 是正することにもなるのである。

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