タイトルロゴ大山祐史の経営コラム




 <本日のツボ358>
    『真実では変えられない』

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<ツボの説明>

  クラス替えで新しい担任の先生にお世話になることとなった子供に
 感想を聞いてみたところ、「厳しすぎて怖い。授業も学校もつまらない」
 と言い出した。

  そんなことがあった場合、この先生に対してはどのような態度で接す
 れば良いだろうか?


  1.何もいわない

  2.子供のいった言葉をそのまま伝える

  3.計算ずくで「うそ」を伝える

 などといったことが考えられる。


  何もいわなかった場合は先生の子供に対する姿勢を変えることはでき
 ないので、子供に対して納得してやる気を取り戻すように説得する
 こととなる。

  しかし、子供が感じている「怖い」「つまらない」という感情は自然な
 ものであるため、説得によってこの感じ方を変化させるのは難しい。

  「厳しくするのは子供のためを思っているからであり、最終的には
 良い結果につながってゆく」などといったことは、同様のことを実際に
 何度か経験してはじめて理解できることだ。


  真実をそのまま伝えた場合はどうだろうか?

  言われた先生はどのように感じるかを想像してみよう。

  とくに意識はしていないのに生徒に「厳しすぎる」と感じさせてしまっ
 ていた場合は、「今後は少々おだやかに接するようにこころがけよう」
 と思うかもしれない。

  また、考えがあってあえて厳しくしていた場合は、その点を指摘されて
 ガッカリしたり悔しく思ったりする可能性もある。

  いずれにしても、今後子供に対するプラスのストロークをより多く
 発してゆく動機とはならないと考えられる。


  3番目の「計算ずくのウソ」とはどのようなことを言うのか?

  たとえば「先生のおかげでしっかりしてきました。授業に対する集中
 力も上がってきているようです。ありがとうございます」。

  そんなことを子供は一言もいっていないのだから、これはある意味
 「ウソ」なのだが、カシコイ親は平然とこういう手を使うことができる。

  実は、このような言葉は「子供が言ったことや感じたことを先生に
 教える」というような「真実の伝達」を意図していない。

  この言葉の持つ意味は、先生にやってもらいたいことを指示している
 「命令語」としてのものなのだ。

  すなわち「厳しくするならそれでも結構。但し、しっかりした態度と
 授業中の集中力が身につくようにして下さいね」という指示を、少しだけ
 言い方を変えていっているのである。

  こういわれた先生の方は、決して「指示された」とは感じないだろう。

  大抵は嬉しそうな顔をして「いやあ、XX君はもともとしっかりして
 いましたよ。ご家庭がきちんとしているんだなと思っていました」などと
 心にもない受け答えをしてくる。

  心になくても自分で口に出した言葉というのは刷り込まれるので、
 翌日からは子供をそういう目で見るようになる。そのように導くための
 ストロークを発するようになる。ただ単に厳しいだけだった接し方に
 「しっかりした態度と集中力を育む」という目的意識が生まれる。


  「それはマズイな」と感じたとき、真実を示してその点を指摘する
 のは効果が薄いやり方である。

  これはもちろん、ビジネスの場においてもあてはまること。

  「できるビジネスマン」である父ちゃん母ちゃんは、人を使う術を
 仕事にも子育てにも活かすことができる。

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    アドバンマネジ経営コラム by 大山祐史


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