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  2006年4月17日


 <本日のツボ88>
   『遅きに失しました』

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<ツボの説明>

  遅きに失した感がありますが、サラ金業者の行為に対して行政
 から「営業停止」という処分が下りました。

  自殺者まで出てしまっているわけですから、今さらの行政処分は
 ほんとうに「遅すぎ」だったわけですが、実は私自身も「しまった、
 遅かった」と反省している部分があります。

  「3月中に書いておけば良かったな」と思ったからです。


  以前に「あなたの会社の将来にもっとも大きな影響を与えるの
 は、今入社したばかりのそこの若者です」という話をしたことが
 ありますが、その若者たちが社会人としての第一歩を踏み出して
 から以降は、その人がどのような価値観をもち、どのような行動
 様式を身につけてゆくかは、経営者や職場リーダーさんたちから
 何を得ることができるかにかかっています。

  学生時代までは、親や教師、クラブ活動の先輩などがその役割
 を担っていました。しかし残念ながら、学校を卒業するまでに社
 会人として必要な知識・常識といったものをすべて身につけてこ
 られる人はほとんどいません。

  というよりもむしろ、ほとんどの人にとって学生時代に身につ
 けることができるのは、学生として必要な知識・常識だけである
 ということができます。

  人間というのは本質的に、今必要なもの(技術や知識)以外は
 なかなか身につかないものだからです。


  ほとんどの人にとって、学生時代は「サラ金」とは無縁だった
 はずです。

  だから、サラ金について正しい知識をもっている学生というの 
 はあまり存在しません。

  その上、あのようなテレビコマーシャル(若い女性を使って、
 あたかもサワヤカで良識的な優良企業であるかのような印象を与
 えるもの)を毎日のように目にするわけですから、その印象だけで、
 サラ金というものを認識してしまう人が大勢います。


  私が「新入社員研修」を請け負う場合には、プログラムの二番
 目に必ず「安全教育」というテーマを設定します。

  その中で新入社員に身につけてもらうことは、

    1.身体の安全
    2.設備の安全
    3.お金の安全

  の3種類の安全を守ることの意義とその具体的な方法・考え方です。

  3のお金の安全についてさらに、会社のお金 と 個人のお金
 に分けて取り扱うのですが、個人のお金に関する知識を提供する
 中にかならず「サラ金とは」という内容を盛り込んで、注意を喚
 起するようにしています。


  今回の「アイフル」を例にあげるまでもまく、借金にまつわる
 トラブルはその個人だけの問題にとどまらず、かならず職場にま
 でその影響がおよびます。社員や属する組織の生産性の足を引っ
 張るマイナス要因となるのです。

  そして、法定金利を上回る利率での貸付を行なっているような
 違法な高利貸しからの借金は、そういったトラブルに発展する可
 能性が相対的に高いということができます。

  さらに今入社したての新人さんたちは、家庭や学校で「稼いで
 から使う」というきわめてアタリマエのことを教えてもらって
 いない可能性が高いので、会社として正しい知識を社員に提供し
 てゆく必要があるのです。


  このことは先輩社員の雑談として伝えるよりも、正式な教育研
 修プログラムの中で身につけさせたい項目だと感じています。

  「先輩社員のお話」では、主観的な意見であって普遍性はない
 という捉え方をされてしまう可能性があるからです。

  ですから、申し訳ありません。
  3月中に書いておくべき内容でした。とお詫びするわけです。

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 アドバンマネジ経営コラム by 大山祐史


  本コラムの内容は、大山祐史によるものであることを明記する
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